UP | HOME

ヤムイモの頭(竹ノ下研究室):ガボン・ムカラバの類人猿

ガボン、ムカラバのゴリラとチンパンジー

1999年から、ガボン、ムカラバ国立公園に生息するゴリラとチンパンジーの野 外研究を継続しています。 フィールドや調査の様子を紹介します。

ゴリラとチンパンジーが共存する中部アフリカの熱帯森林

アフリカ大型類人猿の分布

アフリカ大型類人猿の分布

ゴリラやチンパンジーなど、アフリカ大型類人猿は、霊長類の中で、わたした ちヒトに 最も近縁な生物です。かれらは、アフリカの赤道付近に、分布域を 大幅に重ならせて生息しています。

とりわけ、ガボン、カメルーン、コンゴ共和国、中央アフリカ共和国、赤道ギ ニアといった、 アフリカ中西部の熱帯森林には、ゴリラとチンパンジーが同 じ森で混ざりあうように生息しています。

ムカラバにも、ゴリラとチンパンジーがともに暮らしています。 しかも、ど ちらの種も他の地域と比べ、生息密度が高くなっています。 世界的にも非常 に貴重な場所です。

ムカラバドゥドゥ国立公園

ムカラバの位置

ムカラバの位置

ムカラバ-ドゥドゥ国立公園 (Parc National de la Moukalaba-Doudou, Moukalaba-Doudou National Park) は、アフリカ、ガボン共和国の南西部、南 緯2度、東経10度付近に位置します。国立公園の北部には、南北に走る標高700〜 900mのドゥドゥ山塊 (Monts Doudou) がそびえます。国立公園の東端には、ニャ ンガ川の支流であるムカラバ川(La Moukalaba)が流れています。南部は、大西 洋に面しています。

年間平均気温は約24〜27度、年間降水量は1300〜1800mmです。乾期と雨期が明 瞭で、6〜8月はまったく雨が降りません。そのため、内陸部のコンゴ盆地の熱 帯林ほど森は深くありません。植生区分としては、熱帯季節林あるいは熱帯半 落葉樹林とされています。

サバンナと森林のモザイクが育む豊かな動植物相

ゴリラ、チンパンジーの高い密度を支えているのは、ムカラバの豊かな自然、 生物多様性の高さです。類人猿の食物となる果実をつける樹種の多様性がたか く、それぞれに結実する時期が異なるため、年間を通じて、食物が不足する時 期がありません。

また、ムカラバの大きな特徴として、森林とサバンナが複雑に入り組んだモザ イク状になっていることがあげられます。そのため、サバンナを利用する動植 物と森林を利用する動植物とが、相互に行き来しながら共存することができる のです。

大型類人猿の長期野外研究

GGのメス

GGのメス「コジワ」

1999年に、私がムカラバで最初のサーベイを行ないました。当時は国立公園で はなく保護区でしたが、1週間程度の短期間の調査で、ゴリラ、チンパンジーと 高い遭遇率を得、長期調査地として有望と感じました。

その後、保護区のなかでより大型類人猿の観察頻度が高く、かつアクセスに難 の少ない北部のブチアナ地区を長期調査のベースとして選びました。長期調査 のためのキャンプを設営し、京都大学の山極寿一を中心とする研究グループを 組織して腰を据えた調査を開始しました。

2000年には、ガボンの研究機関である熱帯生態学研究所(IRET)とムカラバでの 調査に関する協力協定を結び、当地国の研究者との連携も進めています。2009 年度より、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の共同事業である、 「地球規模課題対応国際科学技術協力事業」のひとつとして、「野性生物と人間 の共生を通じた熱帯林の生物多様性保全」プロジェクトが起ち上げられ、大型 類人猿のみならず、地域の生態系の包括的な研究と保全活動へと拡がりをみせ ています。

グループ・ジャンティ

2003年から、ブチアナ地域周辺を利用するゴリラの人づけを開始しました。京 都大学の安藤知恵子さんが長期にわたって現地で地道な努力を続けた結果、現 在、グループ・ジャンティ(以下、GG)と名付けた集団をほぼ毎日、朝から夕 方まで追跡、観察できるようになりました。

GGは1頭のシルバーバックと1頭のブラックバック、メスとコドモたちから成 る総勢21頭の集団です。終日追跡ができるようになり、研究の進んでいるヒガ シゴリラとはだいぶ異なる生態を持っていることが明らかになりつつあります。

土地利用と種間相互作用

私自身は、チンパンジーを中心に、かれらの土地利用様式と、ゴリラ、チンパ ンジーの種間相互作用を研究しています。互いの存在がそれぞれの食性や土地 利用様式にどのように影響しているのかを調べています。

現在のところ、チンパンジーとゴリラは「互いに敬して遠ざける」というよう な印象をもっています。ゴリラの人づけと追跡が可能になりましたが、チンパ ンジーは極度に人を恐れるため、遊動域を知るのは困難ですが、今後はチンパ ンジーに投入する努力を増やし、研究をすすめてゆきたいと考えています。

感染症防止と健康モニタリング

フィールドラボ

フィールドラボ

エボラ出血熱などの新興感染症や、呼吸器系疾患は、大型類人猿の生存を 危険にさらすあらたな脅威となっています。 山口大の藤田志歩さんや、IRETのスタッフと協力し、調査地のゴリラとチンパンジーの感染症防止対策や、 健康モニタリングにもとりくんでいます。

Author: Yuji TAKENOSHITA

Date: 2011-07-12 20:00:23

HTML generated by org-mode 7.4 in emacs 23